草津に熱帯園があると聞いたとき、なぜ山奥の温泉街にワニや、バナナやサボテンがあるのか! と不思議でした。確かに冬でも暖かい伊豆や沖縄にはバナナワニ園があります。しかし、ここは標高1000メートルを超える草津。冬ともなれば、ワニはあまりの寒さに冬眠し、バナナで釘が打ててしまうに違いありません。
けれども、熱帯植物園を取材させてもらって、私の疑問は氷解しました。この熱帯園は、草津温泉の豊富に湧き出る温泉の熱を利用して大ドームの中を暖め、冬でも南国の楽園を作り出しているのです。なるほど、温泉街に熱帯園というのも立派なつながりがあったのですねぇ。
まず、高さが15メートルもある大ドームに潜入します。丸天井のドームは、ちょっとしたサーカステントのような雰囲気。それにしても暑い。夏でも涼しい高地に住んでいると、この迫ってくるような重さを持った空気が懐かしい気持ちにさえなります。 そこは、バナナ・マンゴーが実をつけ、ハイビスカスの赤い花の隣には、イグアナがお昼寝中、といった風景で、なんだかどこでもドアを開けて、知らない国に来てしまったような錯覚に陥ります。
個人的には、「旅人の木」と言われるオウギバショウに感動しました。この木はとにかくばかでかい木で、うちわのような形をしています。根元を切ると水が吹き出すので、のどがかわいた旅人が、この水を飲んで休むのだそうです。「旅人の木」というロマンチックな名前に、どんな木なんだろう? と長年思っていましたが、その巨大さと存在感に圧倒されてしまいました。
植物の他にも様々な動物がいます。この熱帯園の品揃えというか、動物の選び方には、通をうならせるものがあります。ミーアキャットや、エミューなどは、小さいお子さんも楽しめるかわいさです。そして一時期世間を騒がせ、今はどこへ行ったのか誰も知らなかったウーパールーパー、エリマキトカゲもここにいました。そして、映画「ファインディング・ニモ」で一躍スターダムにのし上がったカクレクマノミもいます。
けれど、この熱帯園の本領発揮はこれからです。実は、この熱帯園、は虫類の種類では全国で一番なのだそうです。それだけに、ヘビのコーナーは大きなスペースを占めています。ここでは白ヘビを是非見ておきましょう。白蛇というのは、昔から神の使いとされています。白い蛇は、突然変異などで、体の色素が無い状態の蛇で、大変珍しいものです。そのせいか、生きた白ヘビ様のケージの前には、なぜか5円や10円玉が並べてありました。それにしても、緑あり、オレンジあり、蛇というのはこんなにカラフルなのかと、驚きましたね。中には、暑いのか、水を張った桶の中にロープのようにぐるぐると身を沈めているものまであり、これがこのまま庭先にあっても誰も蛇だとは気がつかないのではないかと思ってしまいます。
大ドームの外では、猿山のサル達が遊んでいます。時間によっては、お猿のショーも見られるらしいです。ファミリー向けの施設かと思っていましたが、実は、かなりディープなスポットでもあったこの草津熱帯園。温泉でぼんやりした頭をさらにトリップさせてみてはいかがでしょうか。
●場所 草津バスターミナル〜徒歩l5分 ●営業時間 l2月〜3月 8:30〜17:00(年中無休) 4月〜11月 8:00〜17:00 ●入場料 大人750円 小人400円 20名以上大人650円 小人300円 ※YH会員証を見せると、さらに2割引になります!
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