企画書の登場人物をチェックしましたが、別段、シナリオと変わっているところはありません。つまり山田太一さんは、精密な設計図を立ててホンを書いてた可能性が高いようです。となると、内部のスパイは、いったい誰がなる予定だったのか?という疑問がわきます。その疑問は、プロフィールを簡単にわかってしまうので、ここでは述べませんが、確かに、この中にスパイらしきものがいた、いや、スパイになる予定の人がいたんですね。
《登場人物》
(グリーンウッド・ファミリー)
面川清次(38) 支配人
高村靖雄(22) ボーイ
北上久子(20) ウェイトレス
鳥居ミツ(24) ウェイトレス
小笠原史郎(22) ボーイ兼バーテン
高間麟二郎(63) コック長
服部亥太郎(30) コック長助手
杉山七郎(19) 雑役係
有馬フク江(45) 雑役係
大貫徹夫(30) 経理係兼お目付役
(プラス1)村田日出男(35) 地元卸売業者
(そして)大場専造(58) 祐子の父
面川祐子(28) 面川の妻
(いろいろな客がやってくる) ゲスト・多数 |
では、スパイとは、いったいどういう役所だったんでしょうか?
これは私の推測なのですが、ヒントは、リメイク版『高原へいらっしゃい』の中にあると思います。そうです。若月誠(40)西村雅彦が、演じた役所です。つまり、人間嫌いの会社のスパイが、八ヶ岳高原ホテルの雰囲気に馴染むうちに、人間が好きになって、スパイの役に苦しむという設定です。
では、もし、この設定が旧作『高原へいらっしゃい』に生きていたらどうなったでしょうか? リメイク版『高原へいらっしゃい』の雰囲気が、旧作に少し加わっていたような気がします。それだけにコック長の胡散臭さが、もっとリアルになるし、村田さんも、さらに胡散臭く見えたでしょう。ことある事に何かと反発する、みっちゃんにかかる容疑と疑惑も、もっと大きくなり、みっちゃんは、ますます意固地になり、作品に深みが増したはずです。
しかし、山田太一氏は、あえて、それをしなかったのです。ホンを書いているうちに、する必要性を感じなくなってしまった。何故ならば、わざわざスパイを作る必要が無くなったからです。若月誠(40)西村雅彦が、演じた役所は、スパイでなくても良くなったからだと私は推測しています。私は、
おばやん=若月誠(40)西村雅彦
鳥居みつ=若月誠(40)西村雅彦
を考えています。この2人の存在は、、リメイク版『高原へいらっしゃい』のキーパーソンにあたる若月誠(40)西村雅彦の存在を不必要にしてしまった。と、推測しています。
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