北軽井沢ブルーベリーYGHの世界 登山記録

浅間山に行く! 1

 小諸駅に集合した参加者は12名。毎度の事ですが、恐ろしいことに、この時点(午後3時)でも私たち12人の宿泊する場所は、決っていません。当初は、浅間山荘で、キャンプをする予定だったのですが、キャンプ場使用料1人あたり700円に断念。

 なんと超貧乏集団なのだろうか。1泊700円を払いきれなかったとは。そこで、もっと安いキャンプ場はないかと、地元の青少年施設に連絡すると、あった、あった、あるではないですか! 無料のキャンプ場が。

(しかし、この時点では、そのキャンプ場が、どんなに恐ろしいキャンプ場であるか、だれも知るよしもなかった・・・・)

 というわけで、我々は、無料のキャンプ場に向かったのですが、そのあらましを、倉本聡(北の国からの作者)ふうに書いてみましょう。

「拝啓、読者の皆さん。僕たちは、とんでもないところにきてしまったようです。そのキャンプ場は、山の中、とても車で入れそうもない林道の奥にあったわけで、それはもう、酷いキャンプ場だったわけで・・・・」
「やった、このキャンプ場、俺たちの貸し切りだね」
「・・・・」
「水道もあるし・・・・、この水道、飲めるのかなあ・・・・」
「・・・・」
「ちょっと草ぼうぼうだけど、いいよね」
「・・・・」

 その晩は、アウトドア教室を開校しました。テントの張り方、野外料理の作り方、ガスストーブ、ガソリンストーブの使用方法、初参加の人達に、親切丁寧に教えてあげました。すると、なんとなく「北の国から」のドラマに登場しているかのような気分になります。
 この日のメニューは、ビーフシチューにクリームシチュー、ポップコーンに酒の肴が各種。そして、栗御飯にシーチキン。それから、あびるほど飲める酒の数々! 翌日の朝食、昼食を含めて、かかった予算がたったの1000円。

 気取らない、見栄を張らない、無駄な金を使わない、それが私たちの特徴ですから、みんな口癖のように『貧乏だから』を連発します。けれど私たちの旅は、毎回毎回、とても豪華な旅をしています。飲みきれない酒、食べきれない御馳走、そして素晴らしい景色、大自然の感動、山野にこだます歌、輝く星の灯り、そして楽しいテントでの一夜。そんな光景を椎名誠(怪しい探検隊の著者)ふうに書いてみれば、こんな感じになります。

 俺たちは、大きな鍋に野菜たちを「エイ、ヤッ」と入れた。牛肉も、でかいまま、「エイ、ヤッ」と入れた。ハムは丸ごと1本(2キログラム)をでっかくブツ切りにして、「エイ、ヤッ」と入れた。世の中には、食べやすくするためにハムを小さく切る奴がいるが、そんな奴は女々しくていやだ! 70すぎのオババならともかく、男ならゲンコツくらいの大きさのハムを鍋にぶちこみたい! そして、何でもかんでも、ゲンコツくらいの大きさで、「エイ、ヤッ」とぶちこみたい!
 俺たちは、食った。食って食って食って食って食って食いまくった! 食ったあとは飲んだ! 飲んで飲んで飲みまくった! そして歌った。でたらめ民謡、いやでたらめフォークを歌った。キーボードをひいた。ギターをひいた。俺は酒を喰らい、Sは木に登り、ウエピイは歌いわめき、女どもは、目が点になっている。そこに道に迷った暴走族がやってきて・・・・。
【風のひとりごと】
(旧「風のたより」10号掲載文・1993)

注意/現在、浅間山頂は登山禁止になっています。

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