自然観察ガイド 北軽井沢&浅間高原 申込
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インタープリター

 人は、遠いところにいきたがります。可能ならば地球の裏側に行きたいと思っている人が多いと思います。可能なら月世界や火星にも行きたいと思う人も多いかと思います。それは何故でしょうか? それは、遠いところほど自分が体験したことのない未知の世界があるからではないでしょうか?

 しかし、ちょっと待って欲しいのです。遠ければいいというものではないからです。月や火星もいいですけれど、それが単なるガイド旅行だとしたら、近所のガイド旅行と質的には何らかわるところがないのです。そういう状況で火星に行っても自分自身に何の変化も訪れないと思います。

 それより、近所でもいいですから、通訳をつれて散歩してみてはいかがでしょうか? 近所の公園の池の通訳。近所の建設現場の通訳。近所の電信柱の通訳。たくさんの通訳と共に、一度近所を散歩してみたらどうでしょうか?

 例えば、公園にあるスミレの花と会話してみてはどうでしょう? それも木の小枝の根元にスミレの花が咲いていたとしたらどうでしょう? 通訳さん、つまりインタープリターは、あなたに、このように語りかけると思います。

「どうして、こんなところに花が咲いていると思いますか?」
「さあ?」
「アリの餌と関係があるんです」
「アリの餌?」
「アリたちは、たくさんの餌を巣に運びますね。そして巣の中で餌を食べます。食べ終わった餌はゴミになります。ということは、巣の中がゴミだらけになりますよね」
「う〜ん、そうですね」
「巣がゴミだらけになると、どうなると思いますか?」
「う〜ん」
「ゴミ捨てに行くんです」
「え? アリがゴミ捨てですか?」
「アリはゴミ捨ての名人なんです」
「へ〜、そいつは知らなかった」
「そのゴミの中にスミレの種がまじっていて、こんなところにスミレが咲いたわけです」
「ちょっと待ってください。スミレの種はアリの餌なんですか?」
「スミレの種からは甘い蜜がでてくるんです。それをアリたちが食べるんですが、蜜を食べ終わったアリたちは、スミレの種をゴミ捨て場に捨てに行きます。それによってスミレの種は、遠く木の枝まで運ばれて、こんなところで根付いて花をさかせます」
「へえ〜」

 たった1輪のスミレの花から通訳さんたちは、アリの生態、スミレのしたたかな生き方を解説しました。そして、この解説は、どんどん発展していき、私たちの生活とのかかわりや、私たちの生き方との違いや、人生についてまで話が発展していきます。そして、実際にスミレにさわってみて、アリを探しだしては、あとをつけていき、餌を運ぶさまとか、ゴミを捨てるさまを見学したりします。

 正確な通訳をするためには、そこにある背景にまでふれておかなければなりません。それは、事実を単に解説するのではなく、ものごとの背後に潜んでいる何かを解き明かすことでもあります。

 そして、それは、相手の目的や知識にあわせて通訳するのがインタープリテーション・プログラムであり、誰が聞いても同じ内容の話では、インタープリテーションではないのです。つまり、インタープリテーションに参加する人たちの人生につながっていくものでないといけないのです。
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