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解説2

2003年9月4日 (木) 23:29

 これだけ未完成の作品に、これだけ熱をいれ、涙を流したことは、私の人生には、ありませんでした。もちろん完成度の高い作品で涙したことは何度もあります。しかし、書き込みが足りない作品に、普通は涙しません。チャンネルを変えてしまうのが本当だと思います。つまり、作品に対して受身になって見ている。それが普通、テレビドラマに対する接し方だと思います。

 けれど、リメイク版『高原へいらっしゃい』を見ていて、必ずしもそうとは限らないんだなと思ったのです。人間必ずしも、作品に対して受身になって見ているとは限らないなと・・・・。つまり、リメイク版『高原へいらっしゃい』を見ながら、自分の心の中で八ヶ岳高原ホテルを育てていっていることもあるんですね。

 それが、このドラマの魅力になっているような気がします。

 このリメイク版は、見る人、ひとり一人の心の中に、それぞれの八ヶ岳高原ホテルがあった。そんな気がしてなりません。このドラマが面白いと思った人、つまらないと思った人。人によって色々な感じ方があったと思いますが、未完成ゆえに、それぞれの『高原へいらっしゃい』があり、それぞれの八ヶ岳高原ホテルがあり、

・・・・すればよかったのにとか、
・・・・は、こうじゃないかとか、

いろいろ言うことができる。
いろいろ空想することができる。
リメイク版は、そんなドラマだったのではないかと思います。

 天才山田太一さんのホンだと、完璧すぎて面白すぎて、見ている私たちは圧倒されるばかりだったと思いますし、田宮次郎の面川さんには、そのカリスマ性に圧倒されていたでしょう。

 しかしリメイク版だと、圧倒されることはありません。そのかわりにジワジワと八ヶ岳高原ホテルの雰囲気がしみ込んで来て、こうすればよかったのに・・・・と自分なりの八ヶ岳高原ホテルをイメージしていたりする。自分なりの『高原へいらっしゃい』を頭で空想していたりするのです。